12月はいろいろとご依頼を頂き、おかげ様で忙しく演奏活動をさせて頂いております。
私の演奏の紹介を頂く時、メイン楽器「アルトサックス」の演奏を、テナーサックスと紹介頂く事が多くあります。
そのルーツを探りますと、渡部貞夫さんが活躍され「アルトサックス」が名声を極めた以前、上の写真の「THE MAN サム・ティラー」というアメリカの黒人テナーサックス奏者が日本の演歌を演奏し、それが絶大なる日本人の支持を得、サックスはテナーサックスという「ブランド」が定着したみたいです。彼は「スタンレー・タレンタィン」の奏法にすごく似ています。
吉屋潤さんという本格的なジャズ・テナーサックスプレーヤーがいて、絹のような音の演歌がすばらしく、私が10代の後半彼の演奏を聴いて感激したのを覚えています。彼はふるさと韓国に戻り「ソウル・オリンピック」の音楽監督として活躍し今思うとすごい人でした。そして彼は日本の「美空ひばり」に匹敵する韓国の歌姫「キム・パティ」のご主人で彼が吹くテナーの演歌は絶品でした。
日本では、秋元薫さんという「むせび鳴くテナー」の草分けがいましたし、また「佐野兄弟」のサックスも見事でした。この人たちの偉業がサックスといえば「テナー・サックス」という「テナーのブランド」を作ったのでしょう。
よく音楽の仕事で、コマーシャルという「一つ下の言葉」が使われますが、しかし「聴いてよかったかどうかのこの音楽の世界」、本当に心を打つ日本人の演歌を演奏できるんでしょうか・・・・ジャズ・クラシックはもちろんメインですが、この演歌で「サム・ティラー」のように「心を和ませる音楽」ができたらいいなあ・・・・なんて思って彼のLPを聴きました。 飯塚 雅幸